おーばーらいと

「君のお姉さんを裏切るなんてできないよ」と、義理の兄は言った。
 初めての告白はあえなく玉砕した。その場に二人でいることに耐えられなくなって、私は家を飛び出した。
「よっ、どうしたの暗い顔してさ」とぼとぼ歩いていると、クラス一のチャラ男に出くわした。「どこか遊びに行かない? ぱーっと騒ごうよ」
 私は彼に付き合うことにした。

 そのまま初めての朝帰りとなった。玄関に入ると、兄が立っていた。
「どこに行っていたの? 心配していたんだよ」ぎこちなく声をかけてくるその人の冴えない風体が、私の想いに上書きされた。
 ……どうしてこんな中年男を好きになったのだろう。
 私は目礼だけ返して自室へ向かった。早く横になりたかったのだ。

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 本作は『Twitter300字ss』企画参加作品です。